空かない箱

 

とある学校で、三人の生徒に、このような宿題が出ました。

 

「明日までに、配られた箱を開け、中身を取り出してくること」

 

三人に配られた箱は硬く蓋が閉ざされており、一見普通の方法では開きそうにない。

 

しかし先生は言いました。

 

『その箱を開けてきてください。その中にすごく大切なものが入っています。家で開け、明日中身を持ってきてください。それが宿題です。』と。

 

ーその夜、A君は苦戦していました。

 

どんなに強く握っても、一向に箱は開きません。

 

それどころか、蓋がどこにあるのかもわからず、開けることなど到底できそうにありません。

 

A君は、「自分の箱だけは何かがおかしい」と腹をたて、眠ってしまいました。

 

ー一方、B君も、同じように考えこんでいました。

 

金槌で叩いたり、壁にぶつけたりもしましたが、全く箱は開く気配がしません。

 

この箱には何か特別な細工がしてあるか、おかしな箱を先生が配ったのではないか、と、疑わずにはいられません。

 

お父さんやお母さんに相談しても、全く同じことを言うばかりで、結局箱を開けることはできませんでした。

 

ーC君も、家で箱を何とかこじ開けようと頑張っていました。

 

A君やB君が試みた方法はすべて試し、電流を流してみたり、火にかけたり、冷蔵庫で冷やしたりもしました。

 

インターネットで同じような宿題を出された生徒はいないか、検索しました。

 

それでも解決の糸口は掴めません。

 

箱という概念そのものについても調べてみましたが、何のヒントも得られません。

 

ヤケになったC君は、お父さんに無理を言い、箱を車で轢いたりもしました。

 

重さ1tは下らない自動車で踏みつけても、一向に箱は開きませんでした。

 

結局C君も、『自分たちの考えている開けるという行為自体が間違っているのかもしれない』と考え、諦めてしまいました。

 

三人とも箱を開けることはできず、翌日を迎えたのです。

 

先生は言いました。

 

『この箱を開けるために、どのように試みたかを話してください。

3人に点数をつけていきます。

 

まず、みなさんに知って欲しかったのは、当然を疑うということです。

 

どんな分野にも、何かを達成するためにはこうしなければならないという一般的な方法論が、世の中には必ず存在します。

 

箱を開けろと言われたら、まず思いつくのは蓋の位置を確認することです。

 

そこを手で掴んで引っ張ろうと、まず人は考えます。

 

この一般的な方法論自体が、大きく間違っている場合も世の中にはザラにあるのです。

 

誰もが思いつくはずの方法が、実は的外れであることは頻繁にあるのです。

 

今回、C君には最高得点をあげようと思います。

 

『箱の中のものを手に入れるためには、まずは蓋を見つけ、そこを開くことだ』という当たり前の常識を疑うことができたからです。

 

ーあなたはこのエピソードを読んでどう思いましたか。

 

このように、これをすれば手に入ると言う常識が、実はとんでもない勘違いである、ということは世の中に溢れかえっています。

 

難しいことを成し遂げたり、大きなものを手に入れた人は、そのようなことを繰り返し繰り返し行っています。

 

周りの人がみんな諦めていく中、様々な方法を試し、考え直し、やっとの思いで正解に達し、手に入れているのです。

 

誰もが分かる方法で手に入るものに価値はないということです。

 

大切なものであればあるほど、それを手に入れることは難しいということです。

 

難しいということは、それだけその方法を知っている人も少ないということです。

 

皆が無理だと言おうと、周りの人が継続できてなかろうと、それを手にしている人がいる以上、決して諦めてはいけません。

 

一見不可能だからこそ、その道で生き残る価値があるのです。

 

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